4-7 創造と意思の疎通 Creation and Communication

自我の錯覚にあらわれる個々の内容は重要ではないが、それを正すには特定の情況にそっておこなうほうが、もっと役立つということもはっきりしている。
It is clear that while the content of any particular ego illusion does not matter, its correction is more helpful in a specific context.

自我の錯覚はきわめて特定なものだが、心は本来抽象的なものだ。
Ego illusions are quite specific, although the mind is naturally abstract.

しかしながら、そうした心が分裂すると、その一部は具象的になる。
Part of the mind becomes concrete, however, when it splits.

その具象的な部分が自我を信じているわけだが、それはその自我が具象的なものに依存しているからだ。
The concrete part believes in the ego, because the ego depends on the concrete.

自我は、『あなたの存在は（神から）分離したものと限定されていると信じている心の部分』である。
The ego is the part of the mind that believes your existence is defined by separation.




自我は、『すべてのものはそれぞれ一つのものとして分離して成り立っており、存在を暗示するつながりなどない』と知覚する。
Everything the ego perceives is a separate whole, without the relationships that imply being.

だから自我は意思の疎通をすることに反対するが、分離状態を完全になくすためではなくて、それを確定するために利用するときにかぎって例外だとする。
The ego is thus against communication, except insofar as it is utilized to establish separateness rather than to abolish it.

自我の意思の疎通体系は、それが規定するほかのあらゆることと同様に、独自の思考体系に基づいている。
The communication system of the ego is based on its own thought system, as is everything else it dictates.

自我が意思の疎通をするときは、自我そのものを護る必要性によってそれを抑制し、脅威を感じだしたときには意思の疎通を中断させる。
Its communication is controlled by its need to protect itself, and it will disrupt communication when it experiences threat.

このように中断するというのは、ある特定の人あるいは何人かの人たちにたいする反応としてである。
This disruption is a reaction to a specific person or persons.

特定な目的をもった自我の考え方は、結果的にもっともらしい一般論を生じるが、実のところ到底抽象的といえるものではない。
The specificity of the ego's thinking, then, results in spurious generalization which is really not abstract at all.

単に何らかの関連があると知覚するあらゆるものに対して、ある特定な方法で応じるだけである。
It merely responds in certain specific ways to everything it perceives as related.




それと対照的に、（あなたの本質としての）魂（＝スピリット）は真実だとわかっていることにはそのすべてに同じやり方で反応し、ほかのことには全く応じようとしない。
In contrast, spirit reacts in the same way to everything it knows is true, and does not respond at all to anything else.

それに（あなたの本質としての）魂（＝スピリット）は、真実であるものをなんとか確証しようと試みることもない。
Nor does it make any attempt to establish what is true.

真実であるものとは神が創造したあらゆるものだとわかっている。
It knows that what is true is everything that God created.

（あなたの本質としての）魂（＝スピリット）は創造されたもののあらゆる面と、完全にそして直に意思の疎通をおこなっている。（あなたの本質としての）魂（＝スピリット）は創造主と完全にそして直に意思の疎通をおこなっているのだから。
It is in complete and direct communication with every aspect of creation, because it is in complete and direct communication with its Creator.

こうした意思の疎通こそ神の意思そのものといえる。
This communication is the will of God.

創造と意思の疎通とは同じことを表している。
Creation and communication are synonymous.

神は自身の御心を伝えることでそれぞれの心を創造し、こうしてそれを御心と意思とを感受する表現経路として永久に確立した。
God created every mind by communicating his mind to it, thus establishing it forever as a channel for the reception of his mind and will.

ただ同じ階級に実在するものたちだけが、本当に意思の疎通をすることができるのだから、神の創造なさったものが神と御自身に似たものと意思の疎通をするのは当然といえる。
Since only beings of a like order can truly communicate, his creations naturally communicate with him and like him.

こうした意思の疎通は完全に抽象的。というのも伝えようとする資質は普遍的に当てはまるものだし、どのようにであれ判断をくだされたり、例外とみなしたり、部分的に変更したりすることはないからだ。
This communication is perfectly abstract, since its quality is universal in application and not subject to any judgment, any exception or any alteration.

神はこのようにしてまたこのためにこそあなたを創造したのである。
God created you by this and for this.

心は与えられている役目を歪めることはできるが、与えられていない役目を自分勝手に授かったとすることはできない。
The mind can distort its function, but it cannot endow itself with functions it was not given.

だから心は意思の疎通をする能力を全部失うことはできない。ただしそれを実在するために利用するのを拒否することはあるかもしれない。
That is why the mind cannot totally lose the ability to communicate, even though it may refuse to utilize it on behalf of being.




存在することと実在することは、ともに意思の疎通に基づく。
Existence as well as being rest on communication.

しかしながら存在するには、特定のやり方でどのように何についてだれと意思の疎通をする価値があるかどうかを判断する。
Existence, however, is specific in how, what and with whom communication is judged to be worth undertaking.

実在するにはこのような区別など全然しない。
Being is completely without these distinctions.

それは心が実在的なものすべてと意思の疎通をおこなっている状態そのものである。
It is a state in which the mind is in communication with everything that is real.

あなたがこうした状態をある程度まで削がれるままにするなら、あなたは自分の実在をその程度のものだと制限しているのであり、それは、全実在は本当に自分とつながっていて、栄光に満ちた情況にあると気づくことによってのみ完全になる。
To whatever extent you permit this state to be curtailed you are limiting your sense of your own reality, which becomes total only by recognizing all reality in the glorious context of its real relationship to you.

これこそあなたの実在である。
This is your reality.

冒涜したり、後ずさりしたりしないように。
Do not desecrate it or recoil from it.

それはあなたの本当の生家であり本当の神殿であり本当の真の自己である。
It is your real home, your real temple and your real self.




実在するものすべてを包含している神は、その実在するものを、それぞれにあらゆるものを持っているばかりか、自分の喜びを増すためにそれを分かち合いたいという望みを持つように創造した。
God, Who encompasses all being, created beings who have everything individually, but who want to share it to increase their joy.

実在的なものは一つ残らず、分かち合うことによってのみ増すことができる。
Nothing real can be increased except by sharing.

だからこそ神はあなたを創造したのである。
That is why God created you.

神々しい抽象概念たる存在は分かち合うことに喜びを見いだす。
Divine abstraction takes joy in sharing.

これこそ創造が意味すること。
That is what creation means.

「どのようにして」とか「何を」とか「だれに」とか、そうしたことは無関係だ。真の創造はただそれ自体と同じように創造できるだけなので、あらゆるものを与えるのだから。
"How," "what" and "to whom" are irrelevant, because real creation gives everything, since it can create only like itself.

神の国では「何かを持つ」というのと「何かである」ことにはなんの違いもないのであり、そうした違いはただ存在するうちにあるということを思い出してほしい。
Remember that in the Kingdom there is no difference between having and being, as there is in existence.

実在する状態においては、心はつねにあらゆるものを与えるのである。
In the state of being the mind gives everything always.




聖書には、神を賛美すべきだと繰り返しはっきりと書かれている。
The Bible repeatedly states that you should praise God.

だがこれは神に対して、いかに素晴らしい神であるかを言うべきだという意味ではない。
This hardly means that you should tell him how wonderful he is.

神はそのような賞賛を受け入れる自我や、そうした賞賛を審くのに要する知覚力を持ってはいない。
He has no ego with which to accept such praise, and no perception with which to judge it.

しかしあなたが創造における自分の役割をつとめないかぎり、あなたの喜びは不完全なので、神の喜びも完全ではない。
But unless you take your part in the creation, his joy is not complete because yours is incomplete.

神はこうしたことをよくわかっている。
And this he does know.

神自身、自らのうちに生じている様子をわかっているし、そのうえ御子がどんな経験をしているのか、それもわかっている。
He knows it in his own being and its experience of his son's experience.

神の表現経路が閉鎖しているときには、絶え間なく注がれている愛はさえぎられており、自身の創造した心が十分に意思の疎通をしようとしないときには、寂しい思いをしているのである。
The constant going out of his love is blocked when his channels are closed, and he is lonely when the minds he created do not communicate fully with him.




神はあなたの国をそのままに保っている。しかしあなたが自分で心の底からそうだとわかるまで、神は自身の喜びをあなたと分かち合うこともできない。
God has kept your kingdom for you, but he cannot share his joy with you until you know it with your whole mind.

啓示で十分だといえないのは、それがただ神からの一方的な意思の疎通にすぎないからである。
Revelation is not enough, because it is only communication from God.

受けた啓示を神に戻す必要はない。それはたとえそうしようとしても不可能であることははっきりしている。しかしそうした啓示をほかの人たちにもたらすようにと望んでいるのは確か。
God does not need revelation returned to him, which would clearly be impossible, but he does want it brought to others.

これは実際の啓示をもたらすということはできない。その内容を表現することなどできはしない。
そうした啓示はそれを感受する心にとって極めて個人的なものなのだから。
This cannot be done with the actual revelation; its content cannot be expressed, because it is intensely personal to the mind that receives it.

しかしながらその心によってそれをほかの者たちの心へと戻すことはできる。すなわちそうした啓示がもたらす叡智を態度で示せるということである。
It can, however, be returned by that mind to other minds, through the attitudes the knowledge from the revelation brings.




神は、だれかの心がただただ本当に役立とうとするようになるたびに、賛美をうけていることになる。
God is praised whenever any mind learns to be wholly helpful.

悪意を全部なくしなければ、役立てるようになるのは不可能だ。二つの信念が共存するに相違ないのだから。
This is impossible without being wholly harmless, because the two beliefs must coexist.

真に役立とうとする者たちは傷つけられることはない。なぜなら自分の自我を護ろうとしてはいないので、傷つけることができるものは何ひとつないからである。
The truly helpful are invulnerable, because they are not protecting their egos and so nothing can hurt them.

その人たちが助けになっているということは神を賛美することであり、その人たちは神に似ているので神はその賛美をそのまま戻して、その人たちはともに喜び合える。
Their helpfulness is their praise of God, and he will return their praise of him because they are like him, and they can rejoice together.

神は自身を、その人たちへ、そしてその人たちを通して注がれるので、神の国のすみずみまで大きな喜びに満ちている。
God goes out to them and through them, and there is great joy throughout the kingdom.

変わることを選んだ心はどれもみな、自ら進んでその喜びを分かち合いたいという思いがあるので、その喜びに加えることになる。
Every mind that is changed adds to this joy with its individual willingness to share in it.

本当に役に立つ者たちは神にぞくして奇跡（≒赦しによって単なる自我の投影を現実と錯覚していたのを取り消し、魂本来の見方で『本当の現実を見る』ことに移行すること）をおこなう者たちであり、私がその人たちをみんなが神の国にいるという喜びのうちに一つに結ばれるまで指導する。
The truly helpful are God's miracle workers, whom I direct until we are all united in the joy of the kingdom.

私は、どこへでもあなたが本当に手助けできるところへと向かわせ、だれでもあなたを通じて、私の導きにしたがうことのできる人の所へと差し向けるつもりである。
I will direct you to wherever you can be truly helpful, and to whoever can follow my guidance through you.